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認知症の基礎知識

誰もがなりうる認知症。認知症になったからといって、何もできなくなってしまうわけでも、感情がないわけでもありません。厚生労働省の発表によると2025年には患者数が700万人を越え65歳以上の5人に1人が認知症になるであろうと推計されております。このページでは認知症に対する正しい知識を知り、悩みや不安を一人で抱え込まず向き合っていくためのヒントをお伝えしたいと思います。

認知症の症状

認知症は、脳の働きの低下が原因となって引き起こされるさまざまな症状のことです。病名ではありません。また老化によるもの忘れとも違うものです。その症状には、主に脳の働きの低下によって起こる中核症状と、その方の環境や体験、気質によって現れる周辺症状があります。

脳の働きの低下により起こる中核症状

記憶障害:例えば、夕食に何を食べたかではなく、夕食を食べたという体験そのものを忘れてしまう。

見当識障害:日付や時間、自分がいる場所がわからなくなる。

実行機能障害:物事の進め方や、段取りを考えて行動することができなくなる。

環境や体験、気質によって現れる周辺症状

徘徊、過食・拒食、幻覚・妄想、不潔行動などが現れることがあり、周囲を困らせてしまいます。こうした症状は、不安や恐怖感などから引き起こされることが多く、環境を戻したり接し方を変えたりすることで本人の不安がやわらぎ改善することがあります。

認知症の主な原因

原因となる病気では、一般的にアルツハイマー型認知症がよく知られていますが、レビー小体型認知症、そして血管性認知症などもあり、この3つが認知症の約85%を占めています。また原因となる病気によって症状や治療方法が変わります。

1.アルツハイマー型認知症

【原因】ベータたんぱくという異常なたんぱく質が脳に蓄積することなどによって、神経細胞が死滅し、脳が委縮していく病気です。脳の委縮は、記憶を司る「海馬」という部分から起こり、しだいに脳全体に広がります。
【特徴】もの忘れから始まり、数年から十数年かけてゆっくりと進行します。病気が進むにつれて、抑うつ、妄想、徘徊などの症状が現れます。

2.血管性認知症

【原因】脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(脳卒中)によって、神経細胞が死んでしまうことで起こります。
【特徴】脳卒中の発作を繰り返すたびに神経細胞のダメージが大きくなるので、症状は段階的に重なっていきます。障害を受けていない部分の機能は保たれるので、できることとできないことの差が、比較的はっきりしているのが特徴です。

3.レビー小体型認知症

【原因】「レビー小体」とは、脳の神経細胞の中に、ある種のたんぱく質が固まったものです。これが記憶などと関係する部分に出現すると、認知症を引き起こします。多くの場合、体の動きが緩慢になるパーキンソン症状を伴います。
【特徴】 多くの場合、実際にはいない人などが見える「幻視」が現れます。その内容も具体的です。記憶障害などの症状もありますが、アルツハイマー病ほど強くありません。症状は変動しやすく、時間帯や日によっては現れないこともあります。

4.ピック病

【原因】 前頭側頭葉変性症の中核的な病気です。名前のとおり大脳の前頭葉と側頭葉が特異的に委縮する病気です。
【特徴】 万引き行為などの社会的ルールを無視した「反社会的行動」を取ってしまうことがあります。また、64歳以下で発症することが多い若年性認知症であることも特徴です。

早期発見とその利点

認知症は、その原因となる病気によっては薬で進行を遅らせたり、手術で症状を改善したりすることが可能です。治療は早ければ早いほど効果が期待できるため、早期発見と早めの治療が肝心です。
早期発見の大きな利点は、本人はもちろん家族の悩みや負担が深刻になる前に軽減できることです。医師や専門家からの説明や具体的なアドバイスを受けられるので心配ごとへの対策が考えられるようになり、認知症との向き合い方がわかります。また、診断を受けると介護保険サービスが利用できるので介護する人にも余裕が生まれます。

  1. 早期より治療を開始することで、症状が軽減したり進行を遅らせることができる
  2. 早期より薬を服用することにより効果が高まる
  3. 早期発見・早期治療により、治療の見通しがつき適切なケアができる
  4. 早期の対応で適切な治療や今後の対策を立てやすい